いきいきライフプラン

運転免許返納

荻原 博子氏
荻原 博子(おぎわら ひろこ)
経済ジャーナリスト

難しい経済と複雑なお金の仕組みをわかりやすく解説。時代の一歩先を行く分析力に定評あり。「荻原博子の金持ち老後 貧乏老後」(毎日新聞社)「今年が買いどき!トクをするマイホームと住宅ローン 2015/2016年版」(主婦と生活社)「10年後破綻する人、幸福な人」(新潮社)「隠れ貧困 中流以上でも破綻する危ない家計」(朝日新聞出版)など著書多数。

もう一度考えてみたい、「車の運転」。

昨年10月下旬に、横浜市で、軽トラックを運転していた81歳のドライバーが、登校中の児童の列に突っ込んで、一人が死亡するという痛ましい事故が起きました。

これに限らず、アクセルとブレーキを踏み間違えたり、高速道路を逆走するといった高齢者ドライバーによる事故が、最近、多発しています。

そこで3月から、高齢者ドライバーの免許更新が厳しくなっています。

今までも、75歳以上の高齢者ドライバーについては、簡易でしたが認知機能検査などもありました。けれど、多発する事故を重く見て、より詳しい検査が義務付けられることになったのです。

具体的には、75歳以上のドライバーだと、免許更新の高齢者講習の前に認知機能検査を受けなくてはなりません。

この検査では、記憶力、判断力を試します。結果は、「認知機能が低下しているおそれがない」・「認知機能が低下しているおそれがある」・「認知症のおそれがある」という3パターンで通知され、「認知機能が低下しているおそれがない」人以外は、「高度化講習」(個人指導を含む3時間講習)を受けることになります。さらに、認知症と判断された場合は、運転免許の取り消しまたは停止となります。

また免許取得後でも、認知機能が低下した時に見られるような一定の違反行為が行われた場合、その時点で臨時の認知機能検査を受けることになります。

もし、臨時の認知機能検査や講習を受けない場合や医師の診断書を提出しない場合は、免許の取り消しまたは停止となります。もちろん、そこで認知症と判断されたら、免許は取り消しまたは停止となります。

「免許返納」には、特典も。

こうした状況の中で、そろそろ免許を返納しようかと考える高齢の方や、自分のご両親に返納をすすめようという方もいらっしゃるでしょう。

免許を返納するというのは寂しいものですが、実は、この寂しさを和らげるような様々なサービスが出てきています。

運転免許を自主返納すると、警察署の窓口で「運転履歴証明書」というカードがもらえます。このカードを提示すると、様々な特典が使えるケースがあります。

例えば、巣鴨信用金庫では、500万円を上限に、店頭金利0.01%に、さらに0.05%の金利を上乗せしてくれます。つまり、金利が6倍になるということ。

また、東京だと、出光美術館、山種美術館、根津美術館などかなりの美術館が100円から200円安くなるほか、しながわ水族館などは1350円が1080円になります。上野動物園や多摩動物園などでも、割引はありませんが、ポストカードや粗品のプレゼントがあります。

さらに、明治座の入場券が10%引きになったり、はとバスの定期コース料金が5%引きになったり、帝国ホテルの直営レストランが10%引きになったりと、様々な特典があります。

ここでは、東京の例を書きましたが、都道府県ごとに、タクシーの割引やバスのチケット無料発行など様々なサービスをしています。

また、警視庁では、運転に不安を感じ始めた人の相談に乗る高齢運転者相談窓口を、各警察署の交通課や運転免許証本部、免許試験場などに開設して相談に乗っています。

さらに、シルバードライバー教室(実技教室)への参加なども呼びかけています。

2025年には、65歳以上が3600万人を超え、これにともなって認知症の高齢者も700万人になると言われています。こうした状況を、家族でもう一度考えてみましょう。

2017 vol.31