緑や黄、赤、紫、紺青に彩られた古九谷様式、大胆な構図と色使いに魅せられます。江戸時代初期に九谷の金山から陶石が発見され窯が開かれて始まります。隆盛しながらも江戸時代中期に突然姿を消し、およそ百年後に再び窯が築かれ、古九谷様式、赤一色の線による細密描写の赤絵細描、金彩が絢爛豪華な金襴手(きんらんで)が再興。明治期、輸出用の制作で隆盛の時期を経た誰もが知る石川県の代表的伝統的工芸品です。
赤絵細描では中国故事の古典的図柄から現代的なデザインまで作者それぞれの個性で描かれます。若手絵付師 織田恵美さんが描く図柄は洋の東西、中近東が融け合うような不思議な感覚。小紋、アンティークレース、インドの花嫁の手にヘナで描かれる幸運の象徴の紋様など、連想が駆け巡ります。
絵を描くことが好きだった織田さんは石川県立工芸高校を卒業後、県立九谷焼技術研修所に進み、講師の赤絵細描の名匠 福島武山師の指導を受けて進路を決定。福島師のもとで十二年間の修行ののち独立し現在十三年目を迎えます。
工程は窯元で焼成した本体に下書きし、赤の絵の具で文様を大枠から描き始めてディテールに進みます。描いては窯に入れ、また描いては窯に入れを繰り返して完成させます。「途中で手が止まると苦しいのですが、発想が開けると楽しくて」と言います。「こつこつと仕事をしていれば必ず技術と感性を自らのものにできることを福島先生のもとで体得させていただいたように感じています。他にはない私だけの世界観を表現していきたいと思います」
織田さんが描く紋様にいざなわれ、ここではない異空間に遊ぶ心地に。
■盃
テンやイタチの毛で作られた面相筆に作者独自に手を加えて整え繊細な線が描き出されます。
口径6.3×高さ5cm ¥28,000
■玉杯
酒を注いだ蓋は盃に、下部の器は盃台に。珍味入れや香合に流用して楽しむこともできます。
盃 口径4.8cm 全体の高さ5.5cm ¥38,000
■帯留
太めの紐の結び玉を紐通しの上部に押し込み固定するとペンダントとして装うことも可能。
丸型 各直径3×高さ1cm 各¥14,000
角型 各縦3×横3×高さ1cm 各¥15,000
楕円形 縦2×横5×高さ1cm ¥15,000
■小花瓶
赤の線描と緑や紫の彩色が可憐な印象。
ツタなどの葉物をさすと紋様が美しく映えます。
直径7.1×高さ6.8㎝ ¥50,000
■香水瓶
隙間なく描き込まれて重厚な存在感。
茶の湯の茶箱の手前で振り出しに用いられることも。
直径5.5×高さ8㎝ ¥45,000
電話090-2124-0240
※価格はすべて税別価格です。