ツボで養生シリーズ

歯肉炎のツボ〈合谷〉(ごうこく)

宮地 つかさ氏
宮地 つかさ(みやじ つかさ)
鍼灸師・国際中医薬膳師

コロナ禍でマスク着用が日常化しました。その結果、歯肉炎が悪化し、歯を支えている歯槽骨まで炎症が広がり、歯周病になってしまった方が増えたといわれています。

しかし歯肉炎は、永久歯が生えた時から始まっているらしいので、誰しも避けられない問題のようです。体調が悪くなると悪化することからも、免疫力で進行を遅らせているだけといえます。歯肉炎は歯肉の老化現象です。

歯肉炎と歯周病には違いがあります。歯肉炎は歯周病の前段階です。歯肉炎には痛みはないのですが、炎症が広がり「歯周炎」になってくると痛みが出てきます。しかも歯肉の中で歯を支えている歯槽骨が崩壊し始めます。歯がぐらつき、やがては支えきれなくなり、抜けてしまいます。その間、出血、口臭、痛くて噛めないなど、不便な状態が続きます。

昔は歯周病のことを「歯槽膿漏」と表現しました。歯周病という響きには「歯磨きをしていれば大丈夫」と思わせる軽さがあります。それに引き換え「歯槽膿漏」には、やがては歯を失う末路を暗示する凄みがあります。

そこでツボは「合谷」です。「合谷」は歯痛のツボ、肩こりのツボとしても知られています。実際の鍼灸治療では「熱を外へ出すツボ」として、幅広く使われています。熱は発熱や炎症だけを意味するものではありません。東洋医学では、片づけると風通しがよくなるゴミのように、気血の流れを妨げているものも「熱」と表現します。疲れがたまってつらい状態、コリがつらい状態も、熱がたまっていると考えます。

夏から初秋にかけて旬を迎える梨は、熱のこもりと水分の滞りが気になる時に頂きたい果物です。歯肉炎は夏の疲れでも悪化しやすくなります。

歯肉炎のツボ〈合谷〉ごうこく
【探し方】
親指と人差し指の骨が合ったところ
【ポイント】
歯肉炎、歯周病、歯痛だけではなく、歯科治療後に残る肩や首の違和感や疲れにも使えます。抜歯後に痛みが長引く時にも、押してみてください。
2022 vol.41