ツボで養生シリーズ

冷房病のツボ〈湧泉〉ゆうせん

宮地 つかさ氏
宮地 つかさ(みやじ つかさ)
鍼灸師・国際中医薬膳師

昨年の夏は、とても暑く、とても長く、それに伴い冷房がとても厳しい夏でした。確かに冷房なしでは過ごせないことは理解できます。熱中症になりそうな時に冷房の効いた所に入ると、救われたような気がします。呼吸が整い、汗がひくのがわかります。体温並みの暑さでは、呼吸も浅くなってしまいます。

しかし喜んでばかりはいられません。やがて身体は冷え始めます。足、腰、おなか、首など、冷気で肌から冷えていくことに耐えながら、「このくらいなら大丈夫」と自分に言い聞かせます。

じっと冷気の侵襲に甘んじていると、しっかり冷えが蓄積します。1時間の冷房で痛くなった膝は、次は30分の冷房でも痛みだします。十分に回復しないうちにさらに追い打ちをかけることで、肌からの冷えは気血の巡りを滞らせます。それが痛みの原因となります。

店舗や乗り物などの冷房は、気温が18度を超えた頃から入り始めます。気温が上昇するにつれ、冷房もきつくなります。冷房がつらいと感じた後、痛み、痺れ、関節が動かない、全身倦怠、おなかの調子が悪い、頭痛、肩こりなどの身体の不調があれば、それは冷房病です。

ツボは足の裏にある「湧泉」です。このツボが冷えると、全身の冷えが助長されます。足裏カイロを「湧泉」に貼ると、身体の冷え具合が変わります。夏の冷えは、体内の熱の発散力を低下させます。その結果、熱中症にもなりやすくなります。夏は単なる冷え対策に特化できません。暑さと冷房による温度差にも考慮しなければなりません。そこで養生が難しい夏こその食材は、山芋です。身体の対応力を高めてくれるので、別名は「山のウナギ」です。

冷房病のツボ〈湧泉〉ゆうせん
【探し方】
足の裏 背伸びをした時、曲がるところの真ん中にできるくぼみ
【ポイント】
身体の寒暖を調節する働きに優れたツボです。足が冷たい時は温め、熱中症気味で足がほてる時は冷やします。