老若男女を問わず、山を趣味とする方が増えているように思える。しかも、パーティではなく一人で山を歩いている方が多い。一人歩きのリスクは、だれもが知っていることなのに、である。
札幌在住の山の知り合いに車を出してもらい、北海道の山を登ったときのこと。登山口に八時ころ到着、ザックを背にして歩きはじめようとしたとき、登山者が一人、下山してきた。若い女性で、山頂まで往復してきたという。登山開始時は、まだうす暗かったにちがいない。ヒグマが棲息する北海道の山である。話を聞いているだけで、鳥肌がたった。
一人歩きの人にその理由を聞くと、「山仲間がいない」という返答が圧倒的に多い。次いで多いのが、「日程が合わない」である。しかし、よくきいてみると、「山仲間がいない」のではなく、仲間をつくるのは面倒だ、一人の方が気楽でいい、というのが実情のようだ。
そんな次第で一人で山に入る。ポピュラーなコースでもそこは山、時として前後に登山者の影がみえないときもある。ちょっと緊張、けつまずいて転倒、足首捻挫なんていう目にあったりする。同行者がいればあれこれ面倒をみてくれるのだろうが、一人きりでは出るのはため息だけ。山仲間の必要性を痛感する場面となる。
さて、どうやって山仲間を作るのか。ぼくは、山の中で出会った人に片端から声掛けするのが、手っ取り早いと思う。山小屋泊のときなど、夕食時にとなりに座ったひとに話しかけたらいい。同じ山好き、一声かければ話ははずむこと疑いなし。つぎの山行が議題に上がれば、仲間獲得まであと一歩だ。
楽しく安心安全な山歩きを続けるためには、なによりもまず、山仲間を作ることだ。