歩行距離が数時間で済む日帰りハイキングは、気軽に楽しめる運動である。携行すべき小道具類も必要最小限でいい。ハイキング人口の増加は必然と言えそうだ。
しかし、たかがハイキングといっても、されどハイキングである。不用意なミスがハードなリスクを招くことが、ときとしてある。
ハイキング当日、天気予報は快晴で、降水確率は0パーセントと知るや折角ザックに収納していた雨具を取り出し、玄関の靴箱の上に残置してしまう方がいらっしゃる。山の天気は急変する。コースなかばで雨が降ってきたらどうする。100パーセントアウト、というしかない。
忘れてならない大事な道具に、ヘッドランプがある。当該ハイキング参加要項には必携品として案内されているが、必携とされる理由が理解できず、不要なものとして靴箱の上に残置する方もいらっしゃる。
行程がスムーズに進行すれば問題はなく明るいうちに下山できるが、タイムロスを招くようなトラブルは、思いもかけず発生する。メンバーの体調不良、滑ってころんで捻挫、骨折、道迷い。リーダーは内心ヤバイと思う。下山前に日が暮れてしまうかもしれない。メンバーに注意喚起する。「日が暮れた時の用意に、ヘッドランプはアマブタ(雨蓋)に収納しておくように」
するとメンバーの半数が、ヘッドランプは携行してないという。日帰りだし、天気予報は降水確率0パーセントだったから、というのである。リーダーはコース変更を決断、当初予定していた下山口より二つ手前のバス停へと下山した。日暮れ前に。
いまどきそんな初心者はいらっしゃらないと思うが、筆者が現役時代には、こんな出来事もあったりした。土砂降りを覚悟していたら快晴だったり、快晴を期待していたら土砂降りだったり、だから山は面白い。
