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現代人と睡眠:不眠の種類と原因を知りましょう

監修:木村敬二郎(医療法人敬和会木村内科院長)

不眠とは

かのナポレオンやエジソンは、1日にわずか4時間しか睡眠をとらなかったといわれていますが、反対にアインシュタインは、睡眠時間の長い人として知られています。眠りに対する欲求には、このように大きな個人差があり、睡眠時間が短くても不眠を訴えない人もいれば、長くても不眠を訴える人もいます。『不眠症』というのは、睡眠時間だけでなく、朝起きた時に『よく寝た』という爽快感がなく、昼間の社会生活や身体活動に影響が出ていることが一応の目安になっています。

不眠とは

不眠のタイプ

不眠は、一般に、1:入眠障害(寝つきが悪い)、2:熟眠障害(眠りが浅く、夜中に何度も目がさめる)、3:早朝覚醒(朝早く目がさめる)の3つのタイプに分けられます。2と3は同時に現われることが多いことから、最近ではこれを1つにして入眠障害と睡眠維持障害の2つに分類されることがあります。

不眠のタイプ

●入眠障害

寝入りが悪く、例えば午後10時に床に就いても午前2時、3時まで寝つけないといったもので、通常30分以上を要するものを1つの目安とします。床について眠ろうとすればするほど眠れないのが特徴で、あとで述べる『神経性不眠』に多くみられます。

●熟眠障害

いったん寝ついたあと、眠りが浅く、夜中にしばしば目がさめる症状で、一晩に2〜3回以上中途覚醒する場合をいいます。お年寄りの不眠や『神経性不眠』に多くみられます。

●早朝覚醒

早朝から目がさめてしまい、それ以降眠れないもので、普段の目覚めより、おおむね2時間以上早く目がさめる時をいいます。うつ病によくみられる不眠のタイプで、診断の決め手の1つになります。

不眠の原因

一方、不眠の原因となる主なものを挙げてみましょう。

●精神生理学的要因による不眠

不慣れな環境やストレスが原因で起こる一過性のものや、数週間以上続く『神経性不眠』があります。一過性のものには、身近な人の死や転職、入試など、ショッキングな出来事や生活の不安が原因となる場合があります。また、他人の家や旅行先など慣れない睡眠環境のために起こる場合もあります。

専門医に相談を!

●神経性不眠

一過性の不眠が高じて、誘因となった出来事が終わっても不眠が続き、おおむね一週間以上継続するものを持続性の不眠症に分類しています。よく見られるのが『神経性不眠』で、狭義の『不眠症』という時には、多くはこの状態を指しています。この『神経性不眠』は、比較的神経質な人が必要以上に睡眠の変化を気にすることから始まる場合が多いといわれ、眠ろうと努力するあまり緊張し、いっそう眠りにくい状態をつくる傾向があります。しかし、睡眠中に脳波などを記録すると、本人の意識以上によく眠っているものです。このような時には、安易に睡眠剤を服用するのは好ましくありません。なによりも眠りに対する正しい理解をもつことが大切です。

●精神疾患にともなう不眠症

代表的なものとしては、神経症や分裂病の急性期、躁うつ病などの際にみられる睡眠障害があります。特に、うつ病では、不眠は重要な症状の1つで、その初期症状としてしばしばみられることがあります。うつ病の睡眠障害は、睡眠時間が短く、眠りも浅く、しかも覚醒しやすい不安定な眠りになることが特徴です。気分がすっきりしない、気力が出ない、またこれという病気もないのに倦怠感や身体的な愁訴が続き、それに不眠がともなう時には、早めに専門医に相談することが必要です。